靴作りで使う水を汲む時に、シンクの右手に飾ってある小さな刺繍作品に気づいた事のある生徒さんはどれくらいいらっしゃるかしら?
これは 沖潤子さんの作品なんです。
随分前ですが、沖さんの本が作品付きで出版された時のもの。
10年以上前ですが、初めて見た時から衝撃を受けた作家さんで、小さなギャラリーでの展示にワクワクしながら出かけていました。
そんな沖潤子さんの、初の美術館展示!
『さらけでるもの』。
最終日滑り込みましたーっ!、朝早く、遠くて、旅のようで、行くまでの道のり含めて、ギフトでしたー。、あぁ、、、震えた。。。
こういう時間、大切ですね。
、昨年末から今年にかけて、見たい展示が目白押しだったのですが、
11月中ずっと体調が弱っていたので作業も立て込み、気づけばいくつかは逃し。。。
しかしこれだけは絶対に逃さない!と自分に決めたこの一日に、乾杯。。。
作品をみた後の、鳥までが、別次元の輝きに見えてくる不思議。
映画館を出たあと、、美術館を出たあと、
数時間前までと街の温度が変わり、光が変わり、自分に見えているものの見え方が、どこか変化したようなあの感じが好きで、
久しぶりに良い作品に触れた後の"特別な時間"を、堪能しました。
初期にギャラリーで展示されていた頃は、まだ展示品に値段がついていて、展示品のバッグを買うか、本気で悩みながら見ておりましたが、、、
もはやそれらはガラスケースに入った「過去作品」として、展示され、お金では手に入らない物体となり、新作たちがその理由を、どどーん‼️と語り尽くし、、、圧倒的な空間だった。
途方もない時間の集積を前に、神聖な気持ちになるのに、
美味しいものを食べたときのような生々しい興奮も同時にあって、、、
この針目は、どこから始まって、どこで終わりだと決めたんだろう。。。
どこまでが意図でどこからが偶然に出てきたんだろう、、、
と思いを巡らせているうちに、
展覧会の題名
'さらけでるもの、'
という言葉に再びたどり着き、ゾワ〜ッ、、、となった。
針と糸でできる事の途方もない広がり。
帰り道に考えるのは、その余韻の中、やっぱりどうしたって自分の靴作りの事になる。
自分の中から出てくるかもしれないさらけでるものに向かってまずは手を動かすしかない。。。
き