kisakishoesの日記

注文靴と靴教室 キサキシューズ

雪の結晶、かかとのすりキズ。

一昨日は久しぶりの大雪でした。

天気予報の通りに午後からしんしんと降り続け、町中が静かな気配の中、1日型紙を切り続け、帰る頃にはふかふかの雪景色。

自宅まで南極越冬隊の気分で、向かい風の中自然と口に入ってくる雪を食べながら、あらかじめ持ってきた登山靴でザクザクとまだ誰も踏んでいない新雪を踏みしめて帰りました。

あー!楽しかった。、、!!

工房のある青葉区エリアはとにかく坂が多いので、ソリでもあったら随分楽しめただろうな、という雪質でした。。。。

が、!ウキウキ気分で家に帰ったものの、かかとを見ると久しぶりに履いた登山靴の固いかかと芯が足に擦れて、ひりひり。ぎゃーっ!皮がむけていました。

お客様や、生徒や、そして自分もなのですが、かかと外側に突起のようなしこりがある足は珍しくありません。

既製靴でも、かかとはちょうど固い芯がある部分なので、歩行時にしこり部分が擦れて足が痛む人が多いようです。

私の場合は、自分の木型にはその部分が擦れないように、あらかじめ木型に補正をして歩行時にしこりが擦れないようにしています。さらに片足は足首が強めに傾いているので当たりが強くなるので、角度調整のパッドも入れています。

修正した状態が当たり前になっていたので忘れていましたが、久しぶりに硬めの既製靴を履いて、自分の足の傾きやしこり部分を再確認しました。応急処置で、翌日当たる部分をかなり強めに長時間部分ストレッチしてみました。

だいぶ楽になりましたが、履くのは一瞬、痛むのは当分。やっぱり靴ってあなどれないですね。。。

自分の足の木型はもちろんのこと、個人専用木型を製作する際には、この突起部分は、計測した数値と位置を木型に正確に反映しないとならないのですが、これがまたなかなか難しい調整でもあります。

出来た靴を実際履いて歩いてもらい、足の動きも見ながら、細かなサイズや位置の微調整を行いますので、その際は少しの違和感でも伝えて頂かねばなりませんし、そのためには履いてみてから後のコミュニケーションも大切になってきます。

教室の場合、1足目を作った生徒は、2足目以降に進む場合は、こちらで削った木型は買い取ってもらい、完全に自分専用の木型として手を加えていくことでさらにフィッティングを上げていくことが出来ます。その際も、やはり歩行した感覚を木型に還していく作業になりますので、自分の感覚、に耳?(足?)を澄ますいい機会です。

足が靴の中に入っている感覚、って本当に様々で、本人が『きつい感じ』と言っていても、こちらの触った感覚では実際はまだゆるかったりと言うことも多々あります。

それは今までどんな靴を履いてきたか?という事も関係していて、人が決めつけて断定出来ることではないのです。が、感覚って変わるし育つ。という事は自分自身も経験してきたことなので、それを教室でもオーダー靴でも、お伝えできたらなと思っています。

初めて自分の木型をベースに靴を作った時、正直、『ふーん、こんなかんじかあ』、、、だったのですが、しばらくその靴を履いていて、久しぶりに自分がかつて一番”ラク”だと思っていた靴を履いた時の衝撃。

『ゆるい。。。。全然足に合ってない。。。!?』。

その間、たった1ヶ月ほどでしたが、感覚が変わったのでそう’感じた’。

感じた、ってあやふやなようで、一番頼れる感覚。

その新しい感覚を、次の靴に還していく際に、『木型」がないと、またゼロスタートになってしまいます。

木型の重要性、オーダー靴は木型がすべての始まり。

教室に通って自分で作るならなおさら、自分の木型を持った所からが本当のスタート。

木型のことをラスト=LAST と言いますが、注文靴において唯一、最初から最後まで使う工具だから。と習いました。

木型は靴作りになくてはならない工具であり、その工具は靴を作る人のもの。

自分の作った木型と向き合って、今年も新しい感覚を探しながら、靴作りして行きたいと思います。

 

きさき