kisakishoesの日記

注文靴と靴教室 キサキシューズ

夏らしさ。

早くも8月が中盤を超えました。
夏らしい事は何一つしないまま、日々工房に通うものの、
小さな仕事が積まれて行き気が焦る割に
作業が思うように進まない、という危険なサイクルを感じ始めた為、
先日久々に気分転換。
ちゃんと席の予約までして、昼間から映画を観に行ってきました。

「セバスチャン.サルガド〜地球へのラブレター」@渋谷Bunkamura
誰でも一度は見た事のあるはずの、そして一度見たら強烈な印象を残すサルガトの写真。
今まで私も写真は幾度か見た事はありましたが、ヴェンダースが監督してサルガドを記録するなんて、
見ない訳にはいかないっ!という、訳で重い腰を上げたのですが、
本当〜に観てよかった。。。
まだ始まったばかりなので、内容は是非観てから、なのですが、
とにかくサルガドの好奇心の凄さに圧倒された。みた事も無い土地や民族、に
するっと入り込んで行って、いつの間にか彼らと同じ目線で写真を撮る。
それはもう、記録とか情緒とかそんなコトバに収まらない強さや存在感となって
1枚の写真に焼き付けられた瞬間、瞬間、の連なりで、
映画の中で次々と出てくるサルガドの写真に、気持ちが追いついて行くのがやっとだった。
見る事、について考えさせられた。
見ているつもりになって見ていない事が自分には沢山あるな。
たまたま見たのは8/15、終戦の日
戦争を知らない世代、って言ったってそれは嘘だった、自分の事のように見なかった、
ただ見ているだけで本当には見ていなかった。
だって、本当に見る事が出来ていたなら、見ている体ごと反応してその先にあるものを、
もっと自分の力で見つけようとしたはずなんだから。
体ごと見る事に疲れ果てたサルガドが「もう救いなど存在しない、」、と
心を病んだその先にある救いが、何より自分自身の体を使って得たもので、
時間と知恵をかけて再生して行く様が、まるで自分にとっての希望のように感じられた。

やっぱり、学びって楽しいなーと思います。
自分が知らなかったんだ!ってことを知るのがまず楽しいし、
それを知って行く工程はさらに楽しい。
きっかけは、偶然の出会いもあるけれど、やはり自分の好奇心を自分で殺さないことなんだな、
動きたいときに動ける自分を用意しておく事が出来るようになりたいな、
と、ハンサムで軽やかで重くて幾重にも重なったサルガドの魅力にすっかりとりこになってしまいました。
早速自伝も買ったので届くのが楽しみ。

なかなかの難題がここ暫く、靴作りでも続いていて、
今までのアイデアや考え方だけじゃなく、それをベースにした新しい方法やアイデアを自分で見つけて行かなくちゃ!
と思っています。そしてその先はやはりお客様の足が一番の勉強です。
今出来る限りの事はやっていますが、毎回違う足やデザインに対応して行く為の経験の積み重ね。
フィッティングも毎回毎回学びがある。
それをいかにちゃんと「見る」事ができるか、その先に繋げて行けるかだと思います。
いくら沢山本を読んでも、フィッティングの事は書いてないからな〜、、、。。
これからも学んで行きます。

お教室の生徒さんもちらほら増え始め、生徒さんのジャンル?も様々。
靴の修理屋さんや整体師さん、「いつか靴に困ってる友人の靴を作ってあげたい、」
という明確な目標をもつ人もいるし、いきなり1足目から彼女の靴を作る人も。。。
みんなえらいなー、と思います。私なんて最初の頃は
ひたすら自分が履く靴の事しか考えてなかった(笑)。
バイトの合間もこっそりヘタクソなデザインを紙に書いてはポケットに忍ばせていました。
デザインが決まるとパターンも自分で起こせたら!という事で、
最初からパターンからやりたい人もちらほらいますが、
相当×かなり時間かかると思うのでそのつもりで宜しくです!
縫製代は頂きますが、1足目はこちらでアッパー(靴の甲革)まで用意する事も出来ますので、
時間とのバランスを考えて、各自判断して頂ければと思います。
9月スタートの土曜日クラスも募集中です!学びの秋、靴作りなんていかがでしょうか?
http://www.kisakishoes.com/school/

セミの道路ゴロゴロ率がピークなこの時期、、、
夏休みだった教室も今週からスタート。
みんなの土産話を楽しみに、もう一踏ん張りがんばりまーす。