kisakishoesの日記

注文靴と靴教室 キサキシューズ

個展に向けた長話③

前回までの靴作りの語り、
①足に合う木型を作る。
②木型に沿ったインソールを成形する。
まで来ました。、、、かな?
靴は外から見ると分からない事が、内部に沢山詰まっています。
靴の良し悪しは、歩いて時間を経て分かる事が大半で、見えない部分にどんな良い素材を使い、手間をかけたか、という事はなかなかパッと見て分からないかと思います。

お教室で、靴作りしてる生徒さんは、きっと靴を見る目が変わって、日々新しい発見をしているだろうな、と思います。
私も、作り始めた年は、製法や内側の素材が気になり、靴屋さんに行くと変な角度から靴をジーッと舐めまわして見てみたりと、怪しい行動をしていました。
だいたい不振がられていましたが、パリのジョンロブに行った時は、「靴が好きなんだねー」(フランス語だったが多分そんな感じ、、、笑)と、カタログを色々くれて、さすがそういう小僧(小娘)が沢山来るんだろうな、と感動した覚えがあります(^-^)。確実に買いそうにない客なのに、、、。
と、話が逸れましたが、
見えない内部、その1つが、インソールのクオリティでした。インソールさえ変えなければ、甲革を全取っ替えしたとしても、それは修理の範疇。師匠からはそう教わりましたので、全取っ替えするかどうかは別として、インソールはそれほどまでに、靴の耐久性、歩きやすさ、に関わる部分という事です。

そして、続き。
いよいよ甲革を、木型に吸いついたインソールごと吊り込んで成形していきます。ここから先、どうやって靴にしていくかが、いわゆる靴の'製法'です。
一番耐久性に優れているのは、ハンドソーンウエルテッドと呼ばれる手縫いの製法です。これは、高級靴の代名詞になっていますが、私なりに、物凄く端折って言うと、ハンドソーンウエルテッドだから偉い訳ではなく、木型がそれを要求するからです。
足は全て曲線の連なりであり、足に沿った木型はカーブが多すぎて接着剤では耐久性が弱いので縫うしかない、という事です。ウエルト(はみ出したコバの部分)をつけない場合も、製法に何らかの手縫いを入れているのは、全て同じ理由です。。
(ちなみに、グッドイヤーというのは、手縫いの部分を機械に替えたもの、とたまに生徒さんも勘違いしていますが、また別の製法です。)

じゃあ全て手縫いにすれば良い、、。のですが、時間がかかります。その分値段も上がる。注文靴の敷居は高いまま。
 なので、その中間をとって、セミオーダー、というラインもやっていたのですが。
先ほど言った、
木型を削れば縫わなきゃならない。
つまり、縫わなきゃならない程には木型は削れない。
のがセミオーダーになってしまう。

今回の個展オーダー会、
'木型をつくる
から始まる靴
展'
に、こめた思いは、
セミオーダーをやめて、
そして、オーダー頂いた靴は全て木型から作ります。
です。

ただ、入りやすいように。
段階を踏んで、フルオーダーの靴を日常に取り入れて頂けるような、
そんなご提案をしたいと思っています。

ちょっとだけ、、と書きはじめたらきゃーっ!時間オーバー。靴作りの説明をしているだけで、個展が終わってしまいそうなので、
あと2週間もう少し靴作りの方を、頑張りたいと思います。

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