kisakishoesの日記

注文靴と靴教室 キサキシューズ

実りの秋、種まきの秋、再び。


間もなく11月。
夏から秋にかけて、作業内容も様々な方向性が混ざり合い、何もかもが同時進行。ひとまず秋までに一通り、、、と思って
闇雲に進んでみたつもりでしたが、気がついたら秋はどこかな、もはや冬って感じです。
今自分に出来る事の限界を感じて落ち込んだり、はたまた、思ったより出来た自分にうなずいたり、
ココロは日々忙しく、何か一つするたびに新たな学びがあり、
またそれに気付かせてくれるお客様や、新しく出会った靴繋がりの知り合い、、、、。
毎日変化しながら、だからこそ新鮮な気持ちで作れる事を、
ありがたいなーと、思う時ふと、この工房に越して来る前の事を思い出します。

初めて自分の工房を持ったのは、私がボードを買ってたサーフショップのお店の2階。
もう随分前の事に感じますが、まだ1年半前の事。
一部屋間借りして、靴とは全く関係ない空気の中で毎日コンコンコンコン、、、、、
そのサーフショップもハンドシェイプにこだわった[ONLY ONE]を扱う店だったので、
そこのオーナーさんとは休憩時間に『モノ作りとはなんぞや?』トークをよくしました。
私は作る本人で、オーナーさんはそういう人を長年オーガナイズして来た側。
作る人をしこたま見て来た人が「作る側」に求める意見はとても参考になり、
そのときは「靴のこと知らないのになに言ってるのよ!?』と思うような無茶な意見もありましたが、
今になってみるとやっぱり年長者の意見は重みがあるなーと、励まされたりしています。

靴作りに限らずですが、作る側のスタンスがグラグラしているとお客様も不安になりますから、
「うちはこれをやってます」をある程度明確にするのは大切な事だと思いますが、
この暫くのばたばたのおかげで、「たまにはこれもやってみます」「そうだこれもやってみます」
の遊びの具合がむしろ私らしさかも、って思えたのもあって、
当分の間はあまり頑にならず、やっぱりいろいろな方向性を同時進行して行こうー、!
と、この混ざり具合がむしろ当分のスタイルになりそうな気持ちでいます。

「お客さんが、言いやすい。聞きやすい。そういうスタンスでいる事が大事だよ」
ってそのオーナーさんに言われたのが、今すごくよく解る。
何でも聞いてください。
何でもリクエストしてみて下さい。
出来ない事は出来ません、でもその理由はちゃんと説明します。
出来る限りの事はします、でも私が出来る範囲です。
そういう事がようやく肩ひじ張らずにお客様にお伝え出来るようになった気がして、
で、その出来る範囲、、、、が作るごとに大きくなって行く。
分かりやすくなって行く。
そんな靴屋を目指して行こうと思います。

今月もいくつかチャレンジがありました。日本橋三越での作業実演、すくい縫い&インソール加工、つり込み、、、等など。
針がボキッとか折れて赤っ恥かいたらどうしよう。。。なんて最初は緊張しましたが、
実際やってみたら意外と集中して作業出来て、お客様とお話するきっかけにもなって、
やってみてよかったなー。と思いました。
しかもその時ウェルティングした靴は、去年「紅葉シリーズ、秋の新作♪」とか言ってたものだった事にハタと気がついて、
「1年後の秋になってますけど?!」と自分でつっこみを入れてました。
いい加減、どこへ出すにもいつもと同じサンプル状態、から一歩前進したいと思います。

工房ベランダに、通りのいちょうの木の葉っぱが落ち始めました。
今年があと2ヶ月で終わる。
オーダー頂いてる分をきちんと結実させる。
新しいサンプル、新しい気分のサンプルを作る。
この二つがこの秋冬のお仕事。
実らせて、種をまく。
まあるく美味しい循環が巡り巡りますように。

kisakishoesホームページ http://www.kisakishoes.com/